トラウトサーモン陸上養殖の
⿂体サイズ分析
年間を通じて高品質な
サーモンの安定供給を
目指す
トラウトサーモン陸上養殖の
⿂体サイズ分析
ニチモウ株式会社、九州電力株式会社、西日本プラント工業株式会社、株式会社井戸内サーモンファームの4社が共同で設立した、 九州最大規模のサーモン陸上養殖事業を運営するフィッシュファームみらい合同会社は、2023年3月に年間出荷量300トン規模のプラントを完工し、 福岡県豊前市の地下水と豊前海の海水を利用した循環式陸上養殖で「みらいサーモン」を育成しています。測定や解析の手間を省き、精度の高いデータを活用して育成技術の高度化を図るため、 アイエンターの「AI魚体サイズ測定カメラ」を導入しました。
ニチモウ株式会社の小川様に、フィッシュファームみらい合同会社に「AI魚体サイズ測定カメラ」を導入した経緯や、導入後の効果などをお伺いしています。
導入いただいた経緯を教えてください
フィッシュファームみらい合同会社では、年間出荷量300トン規模のプラントでブランドサーモン「みらいサーモン」を育成しています。 魚の育成状況を把握するためにカメラを使用していましたが、従来のカメラはサイズが大きく、水深が深い我々の水槽では階段の昇り降りが必要で、カメラを持ちながら移動することが大変なうえ、コードが複雑で撮影の準備作業に多くの時間と労力を要していました。また、解析作業が手動で行われていたため、効率が悪く、作業負担が大きいという課題がありました。
これらの課題を解決するため、精度の高い測定が可能で作業効率を向上させるシステムを探していたところ、展示会でアイエンターの「AI魚体サイズ測定カメラ」に出会い、導入を決定しました。
導入した後の効果を教えてください
これまで肌感覚で魚のサイズを確認していた従来の方法から、データとして正確に測定できる仕組みへと移行したことで、養殖管理の精度が向上しています。 魚を取り上げる必要がなくなったため、傷や斃死のリスクを回避しつつ、安全にサイズ測定を実現できるようになりました。
現在、カメラは月に2回ほど使用していますが、定期的に魚のサイズを把握することで、出荷時期の予測や養殖計画の立案に役立てられています。 ただし、測定時には餌を止める必要があるため、毎日の使用は行っていません。カメラを水槽に入れることで魚が餌を食べるのを一時的に止めてしまう影響を考慮しつつ、最適な頻度で運用しています。
また、カメラの撮影準備が簡単になり、PCにUSBを接続するだけで使用できるようになったことで、作業効率が大幅に向上しました。 従来必要だった手動解析の時間も不要となり、撮影は1名で十分に対応可能です。 さらに、自社で運用マニュアルを作成したことで、特定の担当者に依存せず、誰でも簡単に測定作業を行える体制を構築しています。俗人化を防ぎ、安定した運用を実現しています。
蓄積したデータをどのように活用する予定ですか?
現在、「みらいサーモン」を2.5キロ以上のサイズで安定的に出荷するという目標に向けて、蓄積したデータを活用しています。 従来は給餌量のデータと増肉係数を基に体重を算出していましたが、これらの数値には具体的な根拠が乏しく、精度の面で課題がありました。
「AI魚体サイズ測定カメラ」の導入により、魚の成長を客観的なデータとして把握できるようになり、出荷時期の予測精度が大幅に向上しています。 このデータは、各出資会社への報告にも活用されており、データ分析画面を通じて捕捉数や平均値をグラフ化し、視覚的に分かりやすい形で共有しています。
今後は、測定データの蓄積を基に、種苗から出荷までの成長過程を予測することが可能となり、養殖計画の精度向上につながると期待しています。
今後もITの導入を考えていますか?
フィッシュファームみらい合同会社では、当初からIT技術を活用して業務改善を進める方針を掲げています。 具体的に導入を検討している製品は現時点ではありませんが、 ITで改善できる部分はまだ多くあるとの認識から、展示会やWebを通じて新しい技術を積極的に探し、 良い製品があれば導入していきたいと考えています。
今後の目標や社会への役割を教えてください
近年、海水温の上昇により、海面養殖ではサーモンを育てる環境が厳しくなり、大型のサーモンを育てることが難しくなっています。 この状況が改善する可能性は低く、将来的にはサーモンが食べられなくなるリスクも懸念されています。 また、海外産サーモンでは水揚げから消費者の手に届くまでの時間が不明確な場合があり、品質面での課題も指摘されています。
フィッシュファームみらい合同会社では、毎週出荷を行い、陸上養殖による安定した水質管理で品質を担保しています。 育成する「みらいサーモン」は、鮮やかな色味、ほどよい脂のノリ、抜群の鮮度を特徴とする国産サーモンです。 餌の配合を調整することで色味や脂の調整が可能となり、品質を追求しています。 出荷作業から1週間以内にスーパーに並ぶため、鮮度が良く安心・安全なサーモンを届けています。 また、陸上養殖により、1年間を通じて生のサーモンを安定して供給することが可能です。
1年間安定して出荷するためには、魚のサイズを常に把握することが重要です。 そのため、「AI魚体サイズ測定カメラ」を活用し、魚の成長を正確にデータ化することで、養殖業務の効率化と精度向上を図っています。 課題としては、電気代や初期設備費の負担により天然サーモンより価格が高くなる点がありますが、味の品質担保と安定供給を実現することで、国産サーモンの価値を高めています。
今後はプラントを増設し、年間300トンの生産を3,000トンへと拡大する計画を進めています。 海水温の上昇などの環境変動や、国際情勢による輸入サーモンの価格変動が課題となる中、陸上養殖による安定した生産体制を確立することで、 国産サーモンの価値をさらに高め、1年を通じて安心・安全な高品質サーモンを安定供給することを目指します。
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